米国におけるナースプラクティショナー(Nurse Practitioner:以下NP)の「生みの親」,ロレッタ・C・
フォード博士から一般社団法人日本NP教育大学院協議会へ,ビデオメッセージをいただいた.フォード博士の
インタビューに関しては,米国でNPとして活躍中の松本絵理氏にご尽力いただいた.
米国でNPを創設した当時の様子は,現在,日本が直面している状況と酷似しており,NPの今後の方向性を
検討していくうえで一つの示唆となる.そこで,このたびフォード博士のメッセージを日本語にまとめ,日本
NP学会の会員の皆さまに提供することとした.
キーワード:診療看護師(NP) Nurse Practitioner
ロレッタ・C・フォード博士 Dr. Loretta C. Ford
【目的】
倫理的感性は,臨床で倫理的問題が生じていることに気づく能力であり倫理的行動を呼び起こすものである.
診療看護師が臨床で遭遇する倫理的葛藤や倫理的感性について明らかにした研究はみられない.診療看護師の倫
理的感性の特徴を明らかにする.
【対象と方法】
全国の医療機関で勤務する診療看護師で研究に同意が得られた者を対象とした.倫理的感性はMSTにより定
量化した.診療看護師の属性と日本語版道徳的感受性テストMoral Sensitivity Test(以下MST)との関係性を
調査した.
【結果】
日本NP教育大学院協議会に入会している会員校のNPコース修了生約250名のうち42人(250名に対する割
合16.8%)からの回収を得た.
診療看護師の倫理的感性『患者理解』が統計上最も高く,次いで『自律』『責任/安全』であった.『責任/安
全』は1年目の診療看護師がより強く認識していた.『自律』は「研修終了」の診療看護師が「研修中」より強
く認識していた.診療看護師の専門領域「クリティカルケア領域」と「プライマリーケア領域」のMST(11因
子)を比較するが有意な差はなかった.
【結論】
診療看護師は看護師としての目線を保ち,診断のプロセスや治療管理に関与しながら,より高い専門性と責任
感を保っていることが明らかとなった.診療看護師は,臨床経験を経て自律した存在となることが示唆された.
Key Words:診療看護師,倫理的感性,日本語版道徳的感受性テスト